善人が時として不幸に見え、
悪人が栄えているような事実を
どう考えたらよいのか。
人間が健康で幸福に、そして繁栄するための第一の鍵は何でしょうか。それは、自分は今の現実の自分よりも、可能性や潜在能力において、一層偉大なる力を有するものであることを自覚することです。
本書は、聖書、仏典、米国の光明思想家等の言葉をひもときながら、善と福とを実現するための根本原理と実践法とを、詳説した書です。なぜ、善人といわれる人々が必ずしも善と福とを実現できないのでしょうか。
「序文」の冒頭では、善人が幸福になれない心の原因を次のように示しています。
その1ー自分は悪いことをしない良い人間であるという高慢さ。
その2ー自分の決めた善の基準のみから他人を批評する。
その3ー善という枠にとらわれて自から自分を縛ってしまう。
その4ー自我の力に固執して神の無限の力を拒絶する。
これらの原因を知り、心の持ち方を変えることでえられる幸福に至る道を、第1章から第13章にわたって詳説しています。
さらに「序文」では、本書の読み方を次のように示唆しています。
「先ず9章の「牝鹿(めじか)の脚(あし)」の話を読み、それから13章の「幸福の世界に出る法」を読 み、1章から順次読み進むと善と福とを実現する原理がより分かりやすい。」
その、第9章には〈「牝鹿(めじか)の脚(あし)」の話〉という興味深い物語が収録されています。
「善と福を実現するための「幸福の哲学」とは何かを、『牝鹿(めじか)の脚(あし)』の前脚と後脚をたとえに、読者を不思議な物語に引き込みながら紹介してゆきます。」
「人間も、その生活の高層に登るには、その心が『牝鹿(めじか)の脚(あし)』のようであらねばならないのである。後脚が前脚の行ったあとをぴったり踏む様に、人間の潜在意識は現在意識の欲するところを、ぴったりと信じ進まなければならないのである。そして動物が高所に登るには前脚と後脚との関係が最も完全なる相互作用をもっていなければならないと同じように、人間も高き自由なる境涯に上るには現在意識と潜在意識との間に最も完全な相互作用をもっていなければならないのである。」
それでは、その後脚はどうしたら前脚の踏んだ道を正確に歩むことができるのでしょうか。答えはぜひ、本書をお読み下さい。
このほか、繁栄と健康と幸福を得るための心の活用法を詳解しています。
善と福とを実現するためには、善のみの世界を祈り、善のみを語り、善のみを信じ切ることが大切だと語る本書は、神、人間、心の関係から説いた宇宙の摂理が明示された読み応えある不朽の名著といえましょう。
(新版にするにあたり、昭和23年に初版刊行された旧版の正漢字、歴史的かな遣いを常用漢字、新かな遣いに改め、活字も大きく読みやすくなっています)
第1章 善と福との実現原理としての神
第2章 罪の消え方に就いて
第3章 人間不滅の話
第4章 浄土のあり方に就いて
第5章 釈迦成道会に因みて
第6章 臨終の大事に就いて
第7章 四無量心の展開
第8章 何故此の世界に不完全があるか
第9章 「牝鹿の脚」の話
第10章 生長の家の神は「根本中」也
第11章 心を澄まして聴く
第12章 思索と体験
第13章 幸福の世界に出る法