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茶筅なす
茶筅なす
材料 なす(小)4個、鷹のつめ1〜2本、油、酒、醤油、みりん
作り方 1.なすはうてなを切りそろえておかっぱ頭にし、下を切り放さないように、へたの少し下から1cm間隔の縦の切り込みを周囲全体に入れる。
2.なすは水洗いをして水気をよくふきとる。
3.中温の油で素揚げにし、なすの色が濃くなったところで引き上げ、熱湯をかけて油を落とす。
4.なべに醤油と酒とみりんを軽く煮立て、いったん冷ましてアルコール分を飛ばしておく。
5.再び(4)を熱しながら、(3)を入れる。
6.なす全体がやわらかく煮えてきたら、まるのままの鷹のつめを入れる。
7.煮えたら(6)を冷やし、なすの上部と下部をもち、逆方向にひねり、形をととのえて盛り付ける。
注意 茶筅なすのいわれは、抹茶をたてる茶筅に似ていることから名付けられたものです。
茶筅なすは、あたたかいうちも十分いただけますが、冷やすと、味を含んでより一層美味しくいただけます。わたくしどもでは、作ったその日にではなく、翌日にいただきます。美味しい茶筅なすを作るには、まず、なすを十分に揚げることです。
なすと油は相性がいいので、ゆっくり揚げましょう。2〜3分くらいの時間をみてください。中まで油を浸透させると、旨味が一段と増します。その後、熱湯をかけ表面の油気を落とします。
あとは煮るだけですが、弱火と中火の中間くらいの火でコトコトと煮ます。言ってみれば、舌の上でとろけるような食感になるまで煮ます。
煮汁は甘辛ず塩からず。できるだけまろやかな味にします。
茶筅なすは、一夜おくと味もひときわ上品にいただけます。これに、はじかみ(棒しょうが)を添えると、なおのこと美味しくいただけます。
作ってみれば何でもないようですが、初夏から盛夏にかけていただく、冷たく冷やした茶筅なすは、なんともいえぬ味わいがあります。
川口宗清 講師から

ある日のことでした。
兄の修行時代の友達がやって来ましたので、酒の肴に、ちょうど昨日わたくしが煮ておいた茶筅なすをお出ししました。すると、その和尚さんは、
 「やあーっ、久しぶりだな」
お酒を呑みながら、
 「庵主さん、もう一つあればいただけませんか」
帰るまぎわに、
 「今日は久しぶりで、いい口法楽をさせてもろうた。ありがとう」
そういって、わたくしに握手を求めてきたのです。
わたくしは、こんなに喜んでいただけるとは夢にも思ってみなかったので、何だかくすぐったいような、それでいてうれしく感じたことを覚えています。
わが山庵の、猫の額ほどの畑で採れたなすを使った、いわば新鮮料理です。
みなさま方も、プランターなどでなすを栽培されて、もぎたてのなすでお作りになってみてはいかがでしょうか。油で揚げてあるので、野菜ぎらいのお子さんにも喜んでもらえると思います。
兄の娘や息子(ともに僧侶)たちは、これを作るわたくしに、
 「おばさん、夏だね」
そう声をかけます。夏ならばこその楽しみです。
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