セオドア・ゼノフォン・バーバー著 笠原敏雄訳
もの思う鳥たち
      鳥類の知られざる人間性

●ここまで解明されてきた、鳥たちの心の世界。

鳥たちはこんなに人間に近い「心」をもっていた!
鳥たち同士の、そして人間との多くの感動的なエピソード、人間に劣らない言葉・音楽・問題解決での驚くべき知能の例を数多く紹介。
すべての読者が鳥たちとの友情を結びたくなる、鳥たちのいのちへの畏敬の念と愛情に満ちた名著。人間と鳥との新しい関係が、この一冊から始まります。

*ものまねでなく「自分の意志」を言葉で人間に伝える鳥
*鳥は人間の言葉を「実際に」理解できる
*野鳥たちと11年間暮らした音楽学者の信じられないエピソード
*鳥たちが仲間と楽しむ、美しい「合唱曲」
*自分の巣が壊されると飛んできて人間に助けを求める小鳥
*「達人」の先輩にさえずりを教えてもらう歌鳥たち
*渡りの航行や巣作りは、機械的行為でなく一羽一羽が「考えて」行な
う知的なもの
*同じ種類の鳥でも、性格は人間のように一羽一羽まったく違っている
*鳥たちはただ幸せであるがゆえに歌い、飛び回る


【目次より】

謝辞  
はじめに

第1章◆ 鳥たちの知能

アレックス:頭のよいオウム/鳥のもつ概念化の能力/鳥たちの非常にすぐれた記憶力/道具を使う鳥たち/鳥たちの利他的な行動
  
第2章◆ 鳥たちのもつ柔軟性

鳥の柔軟ななわばり習性/臨機応変な食物探し/冬のすみかと夏のすみかで見られる鳥たちの柔軟性/巣作りと巣の修復のさいに見せる柔軟性/臨機応変な防御/子どもたちを知的に教育する/つがいの相手を選ぶ時の柔軟性/子どもの数を意図的に制限する

第3章 ◆ 本能に導かれる鳥と人間

人間の言葉の本能的な背景/本能に導かれる人間の新生児/カッコウのひなの本能/本能を知的に用いる

第4章 ◆ 鳥たちの言葉

人間の身体言語/鳥の身体言語/鳥たちの鳴き声による言葉/鳥のさえずり言葉/鳥の会話

第5章 ◆ 偉大なるロレンツォ:おしゃべりカケス

第6章 ◆ 鳥たちの音楽、職人的な技巧、遊び

鳥たちの音楽/鳥たちの美的センス/鳥たちの職人的な技巧/鳥たちの楽しみ、遊び、踊り 

第7章 ◆ 鳥たちの航法

太陽をコンパスとして使う/星の配列を・読む・/風と天気を・読む・/目で見える陸標を・読む・/地球の磁気を・読む・/におい、人間に聞こえない音その他の、かすかな手がかりを・読む・/賢明な渡りの判断/経験に学ぶ/鳥たちの航法のあらまし/人間の航行能力/本能的な背景

第8章 ◆ 人と鳥との個人的な友情

言葉を話すホシムクドリ/とても社交的なコクマルガラス/大学教授とミミズクの友情/・人・格をもつインコ/セキセイインコのブルーバード (創造的歌唱/性的行動/遊び/飛ぶのを喜ぶ)/●ブロンディー ●ラヴァー/たくさんの野鳥との間に育まれた親密な友情/●ジェーン  ●カーリー ●ツイスト ●鳥の個別性と個性

第9章 ◆ 鳥の知能の全体像

鳥たちが人間よりもすぐれている点/人間が鳥たちよりもすぐれている点

第10章 ◆ なぜ鳥は完全に誤解されてきたのか

個としての鳥を知らないこと/飼育される鳥たち (家禽/かごの中のペット)/大きさにまつわる虚偽/「小さな脳」にまつわる虚偽/本能にまつわる誤解/知能にまつわる誤解/人間の自己中心性/人間の利得/擬人化することに対する恐怖

第11章 ◆ 動物はすべて知的なのか

高い知能をもつ類人猿/●ゴリラのココ ●チンパンジーのワショー ●記号を使う他のチンパンジーたち ●洗練されたチンパンジーたち/クジラ目の動物/●イルカたち ●クジラたち/ 知的な魚類/知的な膜翅類/●アリ ●ミツバチ
    
第12章 ◆ 動物の知能がもつ革命的な意味

人間、この破壊するもの/人間性の回復

◎付録A 認知比較行動学革命の進展

行動科学および脳科学の研究者のための解説

◎付録B 知的個体としての鳥を個人的に体験する方法

野鳥と友だちになる/自宅で自由に暮らす鳥と友だちになる/鳥と友だちになることの重要性

◎付録C 本書に登場する鳥の和名および学名
     
原註/訳者後記/索引

【著者紹介】 セオドア・ゼノフォン・バーバー (Theodore Xenophon Barber, Ph.D.)
1927年アメリカ合衆国オハイオ州生まれ。アメリカン大学で社会心理学の博士号を取得後、ハーヴァード大学で研究に従事。1961年から1978年までメドフィールド財団に在籍、研究部長を務める。クッシング病院心理部長を経て、1986年「学際科学研究所(the Research Institute of Interdisciplinary Science)」を設立。催眠研究の第一人者として、多くの研究者に影響を与え、人間の心と体の関係(心身問題)や意識の諸側面の研究でも知られる。200以上の論文を発表、8冊の著書を上梓。邦訳書に『催眠』(誠信書房)、『人間科学の方法――研究・実験における10のピットフォール)』(サイエンス社)がある。
本書は、著者が認知比較行動学の見地から鳥類の知能と行動を6年間にわたり調査研究した成果をまとめたものである。

【訳者紹介】 笠原敏雄(かさはら・としお)
1947年生まれ。早稲田大学心理学科を卒業後、北海道や東京の病院で心因性疾患を対象に独自の心理療法を続け、96年、 東京都品川区に 〈心の研究室〉 開設、 現在に至る。編著書に、『幸福否定の構造』、『多重人格障害――その精神生理学的研究』、『偽薬効果』(以上、春秋社)、『超心理学読本』(講談社プラスアルファ文庫)、『希求の詩人・中原中也』(麗澤大学出版会)その他が、訳書に『前世を記憶する子どもたち』、『前世を記憶する子どもたち2――ヨーロッパの事例から』、『転生した子どもたち――ヴァージニア大学・40年の「前世」研究』、『超心理学史』『新版「あの世」からの帰還』『続「あの世」からの帰還』(以上、日本教文社)その他がある。
ホームページ(「心の研究室」) http://www.02.246.ne.jp/~kasahara/

【原著タイトル】
THE HUMAN NATURE OF BIRDS: A Scientific Discovery with Startling Implications by Theodore Xenophon Barber, Ph.D.(1993)

▽四六判・並製
336頁

ISBN978-4-531-01555-9
初版発行 2008年6月


日本教文社刊

 

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