ピーター・ローベンハイム著 石井礼子訳
私の牛がハンバーガーになるまで
牛肉と食文化をめぐる、ある真実の物語
人はなぜ、「牛」を食べるのか――アメリカの片田舎で起こった、牛と人との感動のストーリー。

◎肉食文化の国アメリカでは年間50億個以上のハンバーガーが消費され、1時間に5000頭以上の牛が肉にされていく。
「牛はどうやってハンバーガーになるのか」 その現実のすがたを本に書こうと、一人のジャーナリストが自ら子牛を買い、誕生から解体までの現場を追いはじめる。しかしいつの間にか、彼はその子牛たちに愛情を抱いてしまった……。牛たちが「肉」になる以外の道はあるのか? そして彼の最後の決断とは?
読者に「生き物を食べること」とは何かを問いかける、一人の男と2頭の牛たちの2年にわたる物語。

【目次より】
●はじめに
牛たちをめぐる子ども時代の疑問/マクドナルドが配る牛のおもちゃ/アメリカでは一時間に五〇〇〇頭の牛が肉になっていく/誕生からと畜解体まで、牛の一生を見とどけたい 
●第1章 子牛誕生
ニューヨーク州ヨークの酪農場「ローネル・ファーム」/双子の子牛が生まれる/雄子牛の運命
●第2章 ボナンザの精子――蘇る記憶d 章 ボナンザの精子――蘇る記憶
人工授精会社ジェネックス社/種牛ボナンザとの初対面/人工授精の驚くべき普及/精液採取場の風景/人工授精師ケン・シェイファーの仕事/妊娠しない牛の運命
●第3章 肥育と去勢
肥育農家ピーター・ヴォングリスと妻のシェリー/ローネル・ファームから三頭の子牛を買う/双子の牛「ナンバー8」と「ナンバー7」/牛とは距離を置かなければ
●第4章 フレンドシップ
ミルキング・パーラー(搾乳室)の朝/酪農牛のさまざまな病気/「BST(牛成長ホルモン剤)をこわがっててもしょうがない」
●第5章 放牧
ダウナー(起立不全の牛)/ナンバー8とナンバー7はなぜ放牧させてもらえないのか/「一般の人間にとって、農業は暮らしの一部じゃないんだよ」/食物をつくるという行為、食べるという行為/「あんたは牛をどうするつもりなんだい?」/はじめて私がナンバー8をかわいがった瞬間
●第6章 牛舎の前庭で
市場に出すのか、自分でと畜場に連れていくのか/子牛たちは病気で死ぬかもしれない/干し草をやってはいけない/「問題は、彼が牛に愛着をもちはじめてるってことなんだ」
●第7章 淘汰
すべての酪農牛は乳が出なくなると食肉処理場へ行く/競売の光景/「あんたの書く牛の本なぞ、読む必要ないね!」/ここを起点に牛たちは「楽しいイメージの食べ物」へ姿を変える
●第8章 と畜
母牛4923が淘汰される日/生産力が尽きたら即、死へと向かうという終わり方/食肉処理業者テイラー社への見学依頼/「あなたを中にお通しすることはできません」/二頭の解体処理をめぐるジレンマ
●第9章 選択肢
二頭はあと三、四ヵ月で食肉処理場に/元ロナルド・マクドナルドのヒンドゥー教導師ジャガンナータ/「牛は私に渡すんだ!」/牛の受け入れ先を求めて/
「人間の可能性より、牛の可能性を探っているというわけか」/ナンバー8の脱走/「解体しないと俺を裏切るって言いたいのかい?」/廃用牛をライフルで殺処分/私とナンバー8の心の波動が一つになる時
●第10章 決断
カレドニアの食肉処理場「T・D・カーン・カントリー・ミート」社/『ドナドナ』/ナンバー13の解体の光景/すべてを自分の目で追う/ナンバー13が完全なる肉として目に映る時/ナンバー7と8の出発の日/「ファーム・サンクチュアリ」……他

【著者紹介】 ピーター・ローベンハイム Peter Lovenheim――『ニューヨーク・タイムズ』『ニューヨーク・マガジン』等で活躍するジャーナリスト。ボストン大学ジャーナリズム学科およびコーネル・ロー・スクール卒業。『民間調停者になるには』など法律関係の著作がある。ニューヨーク州ロチェスター市在住。

【訳者紹介】 石井礼子――青山学院大学文学部英米文学科卒。訳書にR・アンソニー『自信エネルギー開発法』、M・ニームス『お金に好かれる人 嫌われる人』(以上、日本教文社)、R・G・ジャン、B・J・ダン『実在の境界領域』(技術出版)他がある。神奈川県在住。
▽四六判・並製
416頁

ISBN4-531-08139-0
初版発行 2004年5月


日本教文社刊

 

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